ひだまりPはこう語った

ちゅんちゅん、ハローラブライブ!「人生をラブライブ!にする」をモットーにあれこれ語ります。

【今が最高!】ラブライブ!The School Idol Movie レポート&感想

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[2017.11.11] 所々加筆修正しました。

[2015.06.23] 2回目視聴して来ましたので一部を加筆修正しました。

 

 ラブライブ!The School Idol Movieの感想記事です!

 

もくじです。

 

 

 

★映画館レポート

 

 この日曜、MOVIX京都にて視聴してまいりました。

 

 ラブライブ!と言えば最近はやたらと自称ファンによる奇行が取り沙汰され、すっかり「ラブライバー」という単語がオタク界の嫌われ者として広く認知されるまでになりました。さてこの劇場版公開にあたってもきっとそういう弁えを知らぬオタクが騒ぎを起こすのではないかと内外問わず懸念されて、はたして本当に徹夜組の登場やまさかの映画泥棒まで現れてネット上では誹謗や批判が飛び交うちょっとしたお祭り騒ぎとなりました。

 

 ひだまりP自身、映画を観に行くにあたってやっぱりそのような厄介者とのエンカウントで純粋に映画を楽しめなくなる事だけは避けたいと切実に考えていました。上映中にガヤガヤ騒がれたりしたらそれこそ目も当てられません。

 とは言え、そう言った厄介オタクの類はグッズ目当てや、或いはくだらないステータスにしたいのか公開まもなく押し寄せてさっさと捌けてしまうだろうという楽観もありました。

 

 と言う訳で公開翌日の14日、朝7時半の上映を観に行くべく電車に乗り継いでMOVIX京都へと向かいました。劇場が開くのは朝7時らしく着いたのは開館10分前くらいで、既にまばらに人が居ましたがそれでも十数人程度で、これならまだ大丈夫そうかなと考えていました。前売り券を引換する段階になっても席は大多数が開いており、これならば静かに鑑賞できるかなと一安心。

 

 グッズの類はもう無かったですが、パンフレットだけは普通にありました。一部1,000円。その他ウワサのラブライブ!の絵柄が入ったポップコーンとかありましたが朝からは重たいので素直にドリンクのみ買い求めました。

 

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パンフレットと入場者特典メッセージカード。

 

 とまあ、映画鑑賞前はこんな女々しい心配ばかりをしていた訳ですが、2時間後。僕の心の中は見事にある一つの感情のみで満たされていました。

 

「ラブライブ!…最高だ………!」

 

 最高でした。

 

 劇場を出ても興奮冷めやらぬ足取りで四条河原町を抜けて帰路につきました。その間、僕の感情は「ラブライブ!最高だった…」という感情のみで満たされ、どんなに堪えてもスマイルが顔に出るのを抑えきれずきっと道行く人には「うわっ…何この気持ち悪いオタク…」と思われていたことと思います。

 京都府在住とは言ってもこの辺りまで出てくるとそれなりに交通費もかかりますので、折角だから色々寄り道して帰ろうかとも考えたのですが気がつけばまっすぐ帰っていました。それはこの劇場版ラブライブ!を観た事を超える体験が他の何物にも代え難く、今は何をしても満たされないと分かっていたからだと思います。いつもならストレスの溜まる満員電車も今日は一瞬の出来事でした。僕の頭の中ではずっと劇場版ラブライブ!の内容が反芻されていました。もはやこれは僕にとっての心の毒抜き、浄化とすら言える体験だったかもしれません。

 

 

※注意!

これより先は「ラブライブ!The School Idol Movie」に関する重大なネタバレを含みます。

万が一未視聴の方は閲覧をご遠慮下さい。

 

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★あらすじ

 

 あらすじ。

(チャラチャッチャッチャッチャッチャー♪ チャラチャッチャッチャッチャッチャー♪)

 スクールアイドルの良さを世界に広めるべくアメリカへと飛んだμ's一行!メンバーの何人かにとっては初めての海外に見聞を深めつつ、行ったライブは大反響!凱旋したμ'sを待っていたのは一気に知名度が増えて押し寄せたμ'sのファン達と、すっかりスクールアイドル界の”顔”になったμ'sに対してラブライブ!第三回大会に客寄せパンダで出演して欲しいという依頼であった!あれ?でも待って!?μ'sは第二回のラストライブで終わりだって、皆で決めたんじゃなかったの!?(って、その旨ファンの皆には伝えてなかったー!)ファンからのμ'sに対する期待は大!出演を断ったら第三回大会がドームで開かれる話も流れちゃうかも!?でもやっぱりケジメは大事!一度綺麗に終わったものをいたずらに引き伸ばすのは美しくないよ!どうするμ's!?リーダー穂乃果は考えた!第二回ラブライブ予選敗退のアライズさん達も考えた!ポクポクポク…チーン!そうだ、全国のスクールアイドルを集めて非公式でライブをやってスクールアイドルの良さを皆にアピールしよう!これならμ'sのライブもできるし第三回大会には出場しないから皆で決めた解散宣言も守れるよね!こりゃあ一本取られたお前が一休か!めでたしめでたし!あっそうだ丁度真姫ちゃんが作曲した新曲がここにあるぜ!「〽ことりの翼がついに~♪」って、お前ら結局ドームでライブしとるやないかーーーい!!!

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 おあとがよろしいようで。

 

 冒頭は回想シーン。スクールアイドルにならなければ走り幅跳びでオリンピックも夢じゃない大跳躍を鼻歌交じりに見せる女児の穂乃果ちゃん。

 

 そして物語はアニメ第二期のラストシーン、卒業式後のお別れのシーンで花陽の元へ飛び込んできた大ニュースにμ's一同が部室へ回れ右するところから。何と第三回ラブライブがドームで開催されると、まあ第二回の時も思ったけどそれなりに予算かかるだろうにオンゲのイベント並みの頻度で開催されてますよねラブライブ。だけどドームで開催するにはまだまだスクールアイドルは認知度が低い…これは前にもどっかで言った気がするんですけどラブライブ!の世界観におけるスクールアイドルのファン層って中高生しか居ないんですよね、そうするとスクールアイドルって向こうの世界の俺らからはこっちで言うYou○uberとかニコ○コ歌い手みたいなポジションで見られてるんじゃないかという懸念がありまして、それこそド素人級の人たちも多いでしょうし。μ's信者の痛い奇行があっち世界の2ちゃんねるでは痛烈に批判されてたり…ってそれこっちでも同じだった!!!なんつって。まあそんな話は心底どうでも良くて。

 

 要はスクールアイドルを宣伝するためにアメリカ行けって言う話ですね。

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偉大なる先駆者

 

 

★μ's海外ライブ編

 

 μ's海外編。描写はありませんでしたが、絶対μ'sの皆「エリーチカはある程度英語喋れる」って期待があったと思うんですね、「実はハラショーしか喋れないポンコツロシア」ってどこでボロが出たのかすごく気になる所で、勝手に期待されて失望されるチカさんの様子がイメージされます。

 入国早々エリチのメモを穂乃果が写し間違えて海未ことり凛の3人だけ別のホテルに飛ばされるハプニングが。海未ちゃんそんなにキレることないじゃんって観てる時は思ったけど初めての海外でこんなハプニングに遭遇したらそりゃキレるわと思い直したり。凛ちゃんが正しいホテルの名前を覚えてて事なきを得るわけですが、凛ちゃんはアホキャラのようで案外しっかりしてるので「この先輩達に任せてるとロクなことにならないにゃ」つって事前に最低限は自分で調べてたのかもしれないですね。エリーチカ、無能。ほのうみ、無能。凛、有能

  

 

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 ハングマンかな?

 二人でババ抜きやるって完全に最後の二者択一だけのゲームになって楽しいのか?って思うんですけど、まあそれは置いといて。アニメ二期修学旅行回のリベンジを挑む海未ちゃんですが、何て言うかこのシーン見て思ったのはアレです、海未ちゃんって昔からこんな風に不器用で、でも昔からことりちゃんがワザと負けてあげたりすると物凄く怒るんだろうなーと。ことりちゃんも面倒くさいなら知らんぷりしてババの方引いちゃえば良いんですけど、それをしないのはそういう幼馴染的な所でそっちの方が面倒臭いのを経験的に知ってるのかもしれませんね。だからこそ詰んでる訳ですけど、まあ幼馴染的かわゆいエピソードをありがとう。という話ですね。

  

 で、希と真姫が同室。希ちゃん、これ完全にお母さんだし、言っちゃえばここ完全に息子のエロ本見つけちゃった母親だし、ここがクライマックスに繋がる伏線の始まりということよりもまだ18歳とかのはずの希ちゃんが熟れた人妻オーラを出しまくっているところがむしろ心配だったり…

 

 

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エリーチカの かしこさが 2 さがった !

エリーチカの かわいさが 5 あがった !

 

 最近のエリチカは「かしこさ」を犠牲に「かわいさ」を稼ぐ、有り体に言えば「ポンコツかわいい」路線になりつつあって、それは「かしこい、かわいい、エリーチカ」と言っていいものかどうか、などという、どうでも良い事を考えていました。おばあちゃんっ子のエリーチカ。これはもう、鉄板なわけじゃないですか。脚本の人がインタビューで「絵里はみんなのまとめ役で自分の個性を出しにくい子だから、絶対に劇場版では絵里のかわいいシーンを入れると決めていた」的なこと仰ってた決意のシーンなわけですが、穂乃果とにこに聞かれるってのがまた良いですね。にこにーは同い年なのに大人っぽい絵里・希とよく比較され、穂乃果はμ'sのリーダーとして年上でまとめ役の絵里のことを厚く信頼している節があったため、この二人に甘えん坊がバレるっていうのがまた絵里からしてもなんとも言えない恥ずかしさなワケですよね。例えばにこと真姫や、凛と花陽に聞かれてたらとしたら何かしら取り繕う事を言ったと思うんです。「穂乃果に」っていうのが絶妙に取り返しがつかなくてすごく良かったですね。

 

 あと取るに足らない事ですがにこまき同室だと「BiBi」になってしまうなぁというのもあって、アニメ二期合宿回では「ユニット作戦だ!」みたいになってた所、この劇場版では「三人一組」で行動する場面が割に多く、その際に「ユニット組」というμ'sの定番組み合わせが意図的に避けられていると感じました。実際、「画面に3~4人だけが写っててその中でユニットが揃っている事が無い」くらいだったと思うんですが、最後のスクールアイドル勧誘めぐりの所だけは希・凛・海未でlily whiteなんですよね。考えすぎか。

 

 

挿入歌「Hello, 星を数えて」

 

 街を散策した後テンションが上がりすぎた凛による突然のミュージカル。ここで新曲です、一年生組の!ってことはこの後二年生、三年生組でも出る訳でこの映画では計6曲新曲が出てる訳ですね!

 ここのPVの所で雨が降ってる中に凛ちゃんが飛び出して行くのが、アニメの1期5話で学校の屋上が雨で練習できないねみたいな時に同じ事をやってたと思うんですが、この劇場版は今までの「総決算」だけあってそういう今までのアニメを観ている人には分かるようにわざと構図を重ねてあったりする小ネタが沢山あって、そういうのを探しながら見るのも楽しかったですね。

 このPVは凛だけがステージ衣装を着ていて、花陽と真姫は私服のままなのもポイントです。2期5話「新しいわたし」では、ステージの時はスカート履いてるじゃないとツッコむ真姫に対して「μ'sの時はみんな同じ衣装で、凛は端っこだから」と言っていたことに対する演出と考えると、凛がコンプレックスを払拭して真姫や花陽と並んでも真ん中で歌えるだけの自信を付けたということが分かります。

 

 余談ですがμ'sの渡ったこの国は英語圏の国だという事が分かるだけで別に「アメリカです」とか具体的な国名は一言も言ってなくて、Twitterでそれを「μ'sは秋葉原がホームグラウンドであることを強調するため」と分析している方がいて成る程と思ったわけですが、凛ちゃんの「この街ってアキバに似てるにゃ~!」発言も(聴いた時は街の人に謝れと思った)そういう事なんですよね。

 

 自由の女神像があったのと、希が「さすが自由の国やね」って言ってたので少なくともアメリカがモデルであることは間違いないと思います。「ティファニーで朝食を」の話もしてましたしね。

 

 

穂乃果と女性シンガーの出会い

 

 穂乃果ちゃんが電車に乗り間違えてメンバーとはぐれるのも最早様式美。途方に暮れる穂乃果ですが、街中で路上ライブしていた女性シンガーと出会う。

 穂乃果のおっちょこちょいを大人目線でからかってくれる貴重なお姉さん。ここらのやり取りはμ'sの会話にはないもので新鮮でした。甘えん坊の後輩みたいな穂乃果ちゃんすごく可愛かったですね。ひだまりPもこんな後輩が欲しかった…嫁だけど。パンフレットの新田恵海さんのインタビューで、「海外でのあるハプニングから、穂乃果のふつうに女の子らしい面を見ることができるかも」って書いてましたがいやぁほんと、サンクスって感じですよね。穂乃果ちゃんは活発な子だけれど、その一方で自分の「かわいさ」を振り撒いて武器にする心得もほんの少しはあって、そういう面での「女の子らしさ」って言うのは恐らくことりちゃんが幼馴染でいることによる影響だと思うんですね、例えばμ's初期の歌詞作りをいっしょに海未ちゃんにおねがいする所とか、あれはきっと昔からこの3人がこの感じなんだなぁってシーンなワケですけれども、今回のような穂乃果ちゃんの素材の味はまたアニメでは中々見られないもので、また一つ穂乃果ちゃんの魅力が伝わったという事ですね。

 

 μ's3年組卒業後、μ'sは解散して、3年生になってこれからアイドル活動をどうするのかはまだ穂乃果ちゃん的にモヤモヤしている所で、それに対して仄かなヒントをくれた後で、マイクを置いてお姉さんは忽然と消えてしまいます。と言うよりも、一緒に歩いてきたはずなのに、ことりちゃんや他のメンバーには見えていなかったという意味深さ。これは後述したいと思います。

 

 

挿入歌「Angelic Angel」

  μ's初の海外ライブ。海外ということで、日本らしい和服をモチーフにしたこの衣装なんですけどアレですねめっちゃ可愛いですね。ラスト前の口元を金色扇子で隠すシーン。可愛すぎてエロ過ぎる。これこそディス・イズ・ミューズですよね。

  海外ウケの良い金髪巨乳ガールということでエリーチカがセンターに選ばれたのはさもありなんといった所ですが、この絵里の色っぽさですよね。終わりの方で全員縦に並ぶ前の腰のくねらせ方とか、なんて言うか、エロ過ぎ…って言うか、絶対処女じゃない…って言うか。

 

 この曲のライブ中に背景が見慣れた音ノ木坂学院の芝生に切り替わる場面があるんですけど、ここがひだまりPは好きですね。先程の「Hello, 星を数えて」も凛の「この街ってアキバに似てるずらー!」という感想から入って、見知らぬ異国の街をも自分たちのホームにしてしまうように街に溶け込んだ自由なライブという印象でしたが、このAngelic Angelも同様に「世界のどこであっても、私たちはμ'sとして歌を歌っているんだ」という、強いメッセージ性が感じられました。

 

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溢れだす色気。穂乃果ちゃんは平気でこういう顔できるから魔性の女だ…

 

 

★μ's凱旋とこれから

 

 μ's帰国。空港に着いた穂乃果達を待っていたのはいつの間にか増えに増えたμ'sのファンでした…って国内規模のラブライブとやらで優勝してるのに今まで知名度そんなに無かったてのが寧ろびっくりなんですが、上記でもちらっと触れた通りもしかしてラブライブって実はせいぜいニコニコ超会議くらいの規模なんでしょうか…

 

 

挿入歌「?←HEARTBEAT」

 

 「私たち、今はスターなんですもの~~~❤」

 

 3年生組の挿入歌。「?←HEARTBEAT」とは、遊び心を感じられるネーミングですね。「あたしがロックだと感じたらそれがロックなんだ」的なニュアンスを感じます。ここの3年生組の踊りも絵里のかわいいシーンが多くて良かったですね。ほっぺをつねる所とか。嬉しいのはアニメ二期五話でにこちゃんが着ていた専用衣装の絵里・希バージョンが見れた事ですね。でもあれロリ体型のにこちゃんだから普通に可愛かったけど絵里や希が着るとどことなく入浴料がめっちゃ高い個室のお風呂があるお店みたいになっちゃってる感は否めないですね。

 

 

 

 穂乃果が有名人になったことで客足の増えた「穂むら」と、ここぞとばかりにお小遣いアップを求める俗な穂乃果ちゃん。よかった、オジサン相手にカラダでお小遣い稼いでる穂乃果ちゃんはいなかったんだね…どうでも良いけど、アニメ一期の時点でμ'sメンバーのグッズとか売られまくってた気がするけどあれの売上金って穂乃果達には行ってないのか。まさか全部理事長のポケットマネーになってる?アイドルにギャラを一切払わない芸能事務所と言う音ノ木坂学院のどす黒い闇の部分を垣間見た気がしますが…閑話休題。

 

 南理事長の言う所によると、μ'sに「スクールアイドルを続けて欲しい」という声が大きいとのこと。ていうか今回の理事長やたら出しゃばってくるというか、完全にア○カツの織姫学園長ポジじゃないですか!アニメ一期の戦犯が、二期ではちょいちょい良い働きをしてて劇場版でこれとか。理事長マジ理事長。

 所でさっきこの劇場版ではアニメのワンシーンを意識した小ネタが盛り込まれてると言いましたがここはその中でもちょっとブラックだと思った所で、要は理事長からスクールアイドル続けて欲しいと言われる所でなんで穂乃果・ことり・海未の三人だけ呼ばれてるんだという話になると要はこれ穂乃果達が廃校を救う為にスクールアイドルとして活動させて下さいと理事長に直談判してた頃の構図と重ねてるんですよね。具体的にはアニメ一期でまだエリチカが敵チカだった頃の、「やっぱ即廃校にしていい?」「ちょっと待てゴラァ!」っていう流れがあったと思うんですけどあの辺りですね。

 あの頃穂乃果達がμ'sが頑張るから何とか学校を存続させて下さいチャンスを下さいとお願いしていたのが今逆に理事長から穂乃果達にスクールアイドルμ'sが終わるのは困るから続けて欲しいという対比が、見る人次第とは思うんですけどちょっぴりブラックですよね。

 

 学校を廃校から救うためにアイドルを始めたμ'sが一転、アイドルとして皆から期待される立場になってしまった。けれど、3年生が引退したらμ'sはお終いにしますと、あの時皆でそう決めたことも事実。だからライブに出場するべきではないと、一番に反対したのは最も「この9人でのμ's」にこだわりが強い真姫。でも、次がにこちゃんなのが何とも言えないですね。アイドルとしてもっと輝きたいという気持ちは誰よりも強いはず。けれどもμ'sにしがみついて居たくはないという年長者のプライド、挟持がそれを許せないと。真姫が反対したことで、「しっかりしなきゃ」って思ったんでしょうね。で、「真姫の言う通りよ」って。

 しかしながら凛や花陽あたりはこの機会を大事にしたい気持ちがあって、何より今はもうμ'sが出る出ないで大会の興行が左右されるかもしれないという状況。カードの切り方が人生だ、どうする穂乃果!どうするμ's!?

 

 

穂乃果の葛藤

 

 A-RISEはスクールアイドルを引退後もプロのアイドルとしての道を歩くことを決めたという。ともかくツバサ達が選んだ道は、彼女達の言う「お客さんを喜ばせる為に私たちはアイドルを続ける」という、まさに今μ'sの前に敷かれている分岐路のその片方なんですね。それではもう一方の、「μ'sは9人という最高の状態で廃校を阻止するという目的を達成し、綺麗に終わる」選択肢を象徴するのがあの女性なのか?という話になってくると思います。(思ってるだけね)

 ここでシンガーさんの「飛べるよ」という台詞があって、冒頭と同じ大きな水溜まりを走って飛び越える演出が入ります。穂乃果が飛び越えたのは何なのか?で、ここで夢から目覚めるシーンが入って、絵里達三年生の決意をメールで聴いた後、何かを決心した穂乃果ちゃん。

 

 「真姫ちゃん、電車賃貸して!」

 

 なるほど。

 

 突拍子もない提案は穂乃果ちゃんの特権。全国津津浦浦スクールアイドル勧誘の旅に出た一行。にこ花陽ことり組は、新部長花陽の背中を押すにこちゃんという通過儀礼。ことりちゃんが現地のスクールアイドルに話しかける所が、どう見てもこの後変な絵とか買わされる流れだろというあざとさで、秋葉原絵を買わされる…ハッ!?まさかこんな所でμ'sと秋葉原を強く結びつけるメタファーが。侮れず。

 絵里穂乃果真姫組は、変なところが先輩に感化されてる真姫ちゃんが可愛い。真姫ちゃんがこういう「女子高生っぽい振る舞い方」を上級生から学んでるのはアニメでも散見されたものの、にこや絵里の真似をしちゃうズレ方が真姫ちゃんらしくて可愛いですね。

 なぜかここだけ単にリリホワの凛海未希組は、今作やたらはっちゃけている凛ちゃん。「海外で身に付けた交渉術」っていうか単に自由の女神のポーズしてるだけやんけ。でもこの劇場版の一番いいところは、こういう「こういうのを2時間ずっとやっててくれれば良いんだよ」ってのを本当に2時間ずっとやっててくれてる所なのかも知れませんね。

 

 …後で知ったことですが全員東京都内しか回ってないですね。

 

 

★スクールアイドルみんなで作るライブ

 

 穂乃果が提案したのは、「全国のスクールアイドルを集めてスクールアイドルの良さを世界に伝えること」。いち女子高生が思いつきでやることとしてはかなり壮大な話ですが、今のμ'sであればそれも可能であると。

 (ここらへんに入って思うのが、この劇場版はかなり「アイカツ!」ちっくな世界観だなあって所ですね。でもそれが悪いという事はなくて、寧ろ「かくあるべき」というラブライブ!劇場版でのステップアップだと思います。)

 かくしてμ'sの今のカリスマ性は彼女らだけの力で全国のスクールアイドルを一同に会することが出来るまでになっていたわけです。準備シーンではA-RISEの皆さんが手伝いに来てくれるのですがここ、皆アライズに対して敬語を使ってないんですね。これは別にラブライブ大会で勝ったからという訳でなく、今は同じ目標を持ったスクールアイドルとして対等だという意識の表れだと思います。またツバサが作曲、あんじゅが衣装、英玲奈が作詞の担当であろうということが伺えるシーンもあり、A-RISEへの掘り下げもしっかりなされていましたね。

 あとは準備シーンでにこちゃんが衣装の縫製班に入っているところ。ラブライブの黒歴史に名を連ねる二期第六話の罪をここで洗い流しに来たか…にこちゃんの心情としても、ラブライブ予選を控えて余裕が無かったあの頃と今とでは色々違うのでしょうがアニメの悪かった所はちゃんと反省して組み込んでいる所にとても好感が持てました。

 

 別にどうでも良いんですが、結局「ラブライブ!」におけるラブライブって、一期は出場取りやめ、二期は殆どソードマスターヤマト並みの道中すっ飛ばしで優勝して、劇場版では遂に「私たちは絶対出ないけど、ラブライブとは違うでかいイベントを私たち主催でやろうよ!」とか言う身も蓋もなく言えばタイトルそのものをここまで蔑ろにしたアニメは無いですよね。テニスの王子様でテニスしてないみたいなものか。

 

 

挿入歌「Future Style」

 穂乃果・ことり・海未の3人組と言えばアニメでも多用された重要曲「ススメ→トゥモロウ」が思い出されますが、トゥモロウ(明日)からFuture(未来)というタイトルを比べてみてもやはりススメ→トゥモロウの一種のアンサーソングであると、そういった印象がありますね。

 

 

挿入歌「SUNNY DAY SONG」

 

 「伝えよう、スクールアイドルの素晴らしさを!」

 

 「スクールアイドルみんなの曲」というお題目に相応しい、壮大に明るくて深みのある曲と思います。凄いのはμ'sやA-RISEだけじゃない、全てのスクールアイドルの素晴らしさを伝えるためのライブ。全てのスクールアイドルに輝きが、陽の光が当たる場所で歌われたから「SUNNY DAY SONG」。

 これ一回目観た時は流石に気づけなかったんですが、某所での指摘を観て判ったのが「冒頭のシーンで幼い穂乃果が水たまりを飛び越える時に聞こえてくる曲がこのSUNNY DAY SONG」で、そう言われれば確かにララランラーンとか行ってましたものね。いや、これは非常に重要な事なんじゃないかと思います。SUNNY DAY SONGは、「スクールアイドルみんなの曲」。今回、穂乃果の発案によってこれだけの人数のスクールアイドルが動きました。それは間違いなく、穂乃果のカリスマによるもの。しかし冒頭ではこの曲、「スクールアイドルみんな」に背中を押されて、穂乃果は越えられなかった大きな水たまりを飛び越えた訳です。考えてみればμ'sの設立した一番始めからずっと変わらなかった、穂乃果が皆の手を引っ張り、皆で大きな事を成し遂げていくという、その構図が凝縮された演出と思います。

 

 

 

エンディング「僕たちはひとつの光」

 

 大団円のラストシーン。リボンの色から音の木坂の3年生になったと分かる雪穂と亜里沙が、「アイドル研究会」の新入部員達に語る、「μ's」の伝説。そしてラストの曲。

 

 ここの衣装あまりにも扇情的で下品なんですがフフ状態になりました。「僕たちはひとつの光」という事で、まあ冒頭の「ほのかな~」って所で「あ、μ'sのメンバー全員の名前が歌詞に含まれてるんだな」と比較的容易に推測ができ、そうすると下世話な楽しみ方とは分かっていても「絵里」をどう入れるのか気になりますよね。「海未」「ことり」「にこ」なんかは簡単に入れられても「絵里」を自然に歌詞にするのは難しいですよね。真相は「絵」だった訳ですが…一文字かよ!って言っても、まぁでも花陽の「花」で絵里の「絵」だとすれば不遇とは言えないか、或いは一番割りを食ったのは「時を巻き戻して~」(?)みたいなダジャレにされてる真姫ちゃんなのかも。

 

 ライブシーンでは「今が最高!」のところで円になってジャンプするところが胸熱ですね。ここで一瞬止まる演出が、これが本当の本当に最後だということを強調します。ゲームのRTAならこの瞬間にタイマーストップですよ。

 

 ステージは蓮の花をかたどった幻想的なステージ。冒頭で盛大に突っ込んだのは劇場で観た時の最初の印象ですが、μ'sの言っていた通りの「最後のライブ」であることは分かりますがどこで歌われた曲であるかは定かでないですね。

 

 

 

★穂乃果と女性シンガーについての考察 

  

 本編はこれで終わりですが、最後に、穂乃果が出会ったあの女性シンガーが何者だったかを考えたいと思います。

 私が感じていたこととしても、またネットの意見を見ても、やはり「未来の穂乃果自身」という意見が多いようです。

 彼女が実際は何だったのか、これは視聴者それぞれが自由に考えることで、公式から「これが正解です」というアナウンスは無いでしょう。彼女が穂乃果だったのか、穂乃果でないなら誰で、目的は何なのか。未来の穂乃果だとすれば、それは今の穂乃果が進む時間軸の先にいる穂乃果なのか、それともパラレルワールドの住人だったのか。

 解釈はあくまで観た人各人の自由とした上で、ここでは女性シンガー=未来の穂乃果説で考えたいと思います。

 

 劇中で穂乃果が女性シンガーと出会ったのは2回。海外で仲間たちとはぐれた時と、帰国してμ'sの行く末を悩んでいる時ですね。

 共通点として、「穂乃果が迷った際に現れる」「穂乃果以外の関係者に会おうとすると消える(外国編ではことり達と出会う直前でいなくなった、日本では穂乃果の家の前で立ち去った)」の2点、もう一つ思ったのは、はぐれた穂乃果がメンバーと再会した時に海未が「何やっていたんですか!」とかなり強い口調で叱責した所が印象に残っている方は多いと思うんですが、あれが一つの「夢を現実に引き戻す」という演出だったのではないかと考えています。日本で会った時も、穂乃果がベッドで目を覚ます所に場面が切り替わっていました。

 

 では、彼女は穂乃果の夢の世界の住人なのか、しかし現実に地下鉄ではぐれた穂乃果は彼女の道案内でメンバーと再会できていますし、何より現実にあのマイクを穂乃果が預かって(借りパクだけど)います。

 しかし現実に彼女が居たとして、穂乃果と一緒に歩いてきた筈なのにことりが「誰もいなかったよ?」と言ったり、赤の他人のはずの穂乃果を追って日本に戻ってきたりと、不可解な点が多いです。この矛盾点からも、彼女は何かしらの特別な存在であると考えられます。

 

 外国で穂乃果と出会った時の女性シンガーは、穂乃果に対して「自分のやりたい事を考えたら答えはすぐに見つかったよ」みたいな事を言ってたはずです。このことから、穂乃果がこの先「何らかの大きな決断」をして、その結果としての象徴があの女性シンガーであるという解釈ができます。

 二回目に会った時は、演出として穂乃果の眼前に広がる水たまりを「飛べるよ」と後押ししてくれます。

 この「水たまりを飛び越える演出」は、一度目は幼い穂乃果をSUNNY DAY SONG=「スクールアイドルになってからの穂乃果が歌う、未来の曲」が後押しし、二度目は現在の穂乃果に、この女性シンガーがエールを送っています。これを同列に考えるならば、彼女は未来の穂乃果という解釈が成り立ちます。と言うか一度目はそんな未来から来た穂乃果ちゃんだ!なんて思ってもみないから聞き流してたんですが、穂乃果とアメリカで会った時に「私も昔は仲間と一緒に日本で歌っていたのよ、色々あってグループは解散になって、私はこっちへ来たの」みたいなあからさまなヒントをくれていたんですね。

 劇中でスクールアイドルとしての最高の終わりを迎え、伝説を作った未来の高坂穂乃果が、過去の自分の選択を後押しに来たというのが、最終的な僕の解釈です。胸のとこに星形のホクロがあったりして。今回の穂乃果もいつかあのマイクを過去の自分に渡しに行くのだろうとか考えだすとどんどんドンデモ世界観になっていくので掘り下げませんが、事実あのマイクはそういうタイムトラベルもののお約束的アイテムとして出てきたと考えます。

 

 もう一つネットで見かけた解釈として興味深かったのを紹介しますと、あのシンガーはアニメ一期でスクールアイドルから一度ドロップアウトした穂乃果がμ'sに戻らなかった分岐、という解釈ですね。

 あの時に穂乃果は「今度は誰にも迷惑をかけずに、楽しく出来ることをやろう」という発言をしていて、その結果が「独立した未来穂乃果」ということであればとても遠大なフラグ回収です。またこの考えならば、未来穂乃果がμ'sの他のメンバーから認識されなかったことや、自分の過去(=μ's時代)について含みのある言い方をしていたのもより納得がいきます。話としてはこっちが面白いですね。穂乃果があのままスクールアイドルを辞めていたらことりは海外留学の後服飾デザイナーになっていて、にこ達はμ'sとは違う新たなスクールアイドルの形を見つけていたかもしれず、その分岐は一度は見てみたいという所でも有ります。

 

 高山みなみさん演じる女性シンガーが歌っていた曲は「As Time Goes By」。外国の曲ですね。外国の曲ですねって紹介は頭悪すぎですが、要はカバー曲ですねこれ。邦訳としては「いくら時が流れようとも」と意訳されることが多いようです。人が愛し合うことや、あるいは嫉妬すること、それらは常に不変のものであるということが歌われています。

 「穂乃果達」がスクールアイドルでいられる期間は有限であり、それはもう間もなく終わろうとしています。それに対して今回、μ'sが行ったライブは「スクールアイドルの素晴らしさを伝える」もの。そもそも海外でのライブを行ったことも、スクールアイドルを歴史が今後も続いていくその礎を築きたいという想いがあったことが本編中でも言及されています。

  ラストで雪穂達の口から語られたように、今回のμ'sの活躍によってラブライブとスクールアイドルはその人気を確たるものにし、ドーム大会が開かれるまでになりました。μ'sにとっての「いくら時が流れようとも変わらないもの」はまさにその、スクールアイドルがスクールアイドルとして輝きたいという想いであり、だとするならばこの女性シンガーが歌った曲「As Time Goes By」は穂乃果に大きなヒントを与えてくれていたという考えもできますね。だから「簡単だったよ。」なんですね。

 

 

★おわりに

 

 やっぱり総集編というか、完結編的な内容でしたので、パンフレットの監督インタビューにもあるように至る所に細かい演出が張り巡らされているらしく、ネットで観てると僕が一度観た程度では到底わからないような事だらけでした。

 例えば途中に「ママライブ」という単語が出てきますが、本編登場済みの穂乃果ママ、ことりママ(理事長)、西木野ママ(17歳)、にこママ(4児の母)以外のお母さんズが一瞬映ったとか映らないとか。

 ↑これ二回目観たけどわかんないです。海未ちゃんのママらしき人は辛うじて分かりましたが「穂むら」の前で両側から一瞬パァって出てくる女性二人が誰なのかわからないです。ブルーレイ出たらゆっくり確認しましょう。

 ↑このパァって出てくるのは凛と花陽のママだという情報が入りました。花陽ママはSUNNY DAY SONGの冒頭あたりで「この人花陽の面影あるな?」って女性の後ろ姿が見えたのを覚えてます。おそらく気付きやすくするために穂むら前を映したんでしょうが油断してましたね…寧ろあのマンションの映ったシーンに誰かしらいるんじゃないかと想像してました。

 

 あとラストのシーンで音ノ木坂学院アイドル研究部に入部した新入生=矢澤こころという説とか。雪穂が高3ですので、穂乃果が高2だった頃にこころちゃんが中1であれば年齢的には合いますから十分に考えられるところです。これだけは是非もう一度観に行って確かめてきたいと思います。

 ↑これは間違いないと思います。雪穂と亜里沙が説明会みたいなのするシーンで後ろ姿が映るんですが、明らかに周りのモブと作画が全く違っていて、既に登場して名前のある人物だと考えるならば辻褄が合うのは彼女くらいです。止めてみれば分かるんでしょうが、正直気づいた人すごいです。

 

 一応今現在二回にわたり視聴して気付いた事など書いています。二回目は細かい所まで気をつけて見るようにしていたんですが、あんまり細かいネタや検証(確認)が必要なものはBDが出てからでもいいかなと。(また店舗別ユニットCD特典とかやめてね)そういえばグッズ的な物はもう買えないと思ってたんですが、今日二回目見に行った時は普通にあってハローキティのラブライブコラボのやつを買ってきました。(1,500円)

 

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やったね!

 

 

 さて、ここで「ラブライブ!」という物語は幕を下ろした訳です。閉じた世界線に籠もる事なく、こうして一つの終着点を迎えられたという事がこの映画の最大の功績でしょう。今こうして、惜しまれながら終われるコンテンツになったということが何より嬉しかったです。敢えて言いますが、あの2期9話の黒歴史さえも、包み込んで赦してしまう程に、素晴らしい内容であったと断言できます。

 

 それでは!

 

 

 

ありがとうって思う暇もないぜ。