ひだまりPはこう語った

ちゅんちゅん、ハローラブライブ!「人生をラブライブ!にする」をモットーにあれこれ語ります。

ラブライブ!スーパースター!!第12話「Song for All」感想と総評-これからが彼女たちのはじまり。

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”この敗戦が史上最強のスクールアイドルを生み出すこともある。”

 

 ちゅんちゅん、ハローラブライブ!どうもひだまりPです。

 今回はラブライブ!スーパースター!!最終話「Song for All」の感想を書いていきたいと思います。遂に最終話ということで、この1クールを振り返っての感想も書いていきたいと思います。

 

 それでは、続きを読むからどうぞ!

 

 

もくじです。

 

 

☆第12話「Song for All」

あらすじ

母校での一人舞台を成功させたかのん。学校の存続も決まり、意気揚々としている5人のもとに、ラブライブ!東京大会の概要が届く。その内容は、リモート形式とし、それぞれの地区代表がネットを使い、ライブを生中継でリレーしていくというものだった。つまり、ステージは自分たちで用意しなければならない。どんなステージにしようかみんなでアイディアを出すなか、かのんはあまりこだわりがないようで――。

 先に書くとこの12話はいわゆる回収回で、1~11話までのお話の総まとめになっています。なので1つずつこの12話で回収されている「要素」をピックアップして言及していきたいと思います。

 

★澁谷かのんの変化

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最終話で良かったなぁ!!?

 

 まーた穂乃果のNo brand girls高熱ぶっ倒れ事件がネタにされてしまうのか…(サンシャインでもオーバーワークは禁物デース!とか言って言外に指摘されてましたね。)実際今回も雪の中練習してからライブ会場まで走っていってるので最終話でなければ危なかったですね。ラブライブ東京大会の翌日に風邪引くだけならまぁセーフ。

 ここ、かのんとすみれが何かを分かり合ってるようなやりとりにグッと来ましたね。この2人の共通点として「頑張ってもどうせダメだという諦め」があったことは4話のすみれ加入回においても指摘されていたので、10話ですみれ、11話でかのんがそれぞれの過去と決別するくだりがあった後で2人が心からスクールアイドルを楽しんでいる描写が入るのはすごく良かったです。千砂都のひもQ幼馴染マウントはスルーで。

 

一方恋はレズ系のエロサイトを閲覧

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★恋と結ヶ丘女子高校について

 レズ系エロサイトを閲覧していたことを未だに弄られるなど相変わらず不遇の極みにいる葉月恋でしたが、どっこいこの回はまぁ彼女の「救済」とまではいかないものの、なんとか「顔」を立てる位のことはできていたんじゃないでしょうか。

 それが結ヶ丘生徒数増加と、恋ちゃんパパからの寄付金ですね。パチンコで勝ったのかな?まぁいいや。確かに取ってつけたようなシーンですけど、実はこのシーンが挿入されるのは極めて重要な意味があります。すなわち二期で廃校問題を相手にしなくて済むことが確定したという点ですね。良かった…学校を救えないならラブライブなんてどうでも良いとか言い出すかのんちゃんはいなかったんや…

 

 まぁ、このような描写があったとて前回まで指摘してきた、葉月恋が学校をより良くしたいという想いと裏腹にスクールアイドルに対する誤解から全校生徒を巻き込んだ騒動へと発展させ、普通科の生徒から総スカンを食らい「歴代最低と言われた三船栞子を下回る無能生徒会長」の烙印を押されるまでに至る経緯と、その割に恋が加入してからLiella!に何か貢献した描写が無いという問題は解消されてはいないわけですが、とは言え間違いなく「学校をより良くすることが恋の望み」であるならばその想いが成就し、そしてそのことをスクールアイドルの仲間と喜び合うシーンがちゃんとあったことは無駄ではないと思えますね。

 

 

★サニーパッションとの関係性

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「パァ!出た!」

 

 ライバルユニットとしては歴代作品でも最速でかのん達と打ち解けたのについに一度もライブシーンが無かったサニーパッションさん。これ岡田はまだパァ!の持ちギャグとかかのんとの交流とか色々あったけど、増田の方はマジで回し蹴りくらいしか印象なくない?「じゃない方芸人」じゃん。

 蜜柑休題、しばらく結ヶ丘の話が続いていたため出番の無かったサニーパッションですが、この最終話でLiella!との関係性が一気に動いたのは良かったですね。

 「勝つのは私達」とライバル宣言するサニパに対して思わず「私たちも負けません!」と切り返すかのん。言わずもがな、ラブライブ!無印名シーンのひとつ2期3話のA-RISEとの対峙シーンを彷彿とさせますね。

 そもそもサニーパッションがクーカーに接触したきっかけは当時駆け出しとは思えないレベルの高いパフォーマンスに興味を持ったからでした。一方で実際にかのん達と会った岡田は「パフォーマンスのレベルは高いけど、ラブライブで勝ち上がるのは難しいと思う」という感想を抱いています。当時その理由として「自分たちで動いている感じがしない」と、ダンス関係を全部千砂都に頼り切りな所を挙げていましたがこれって結局は「ハングリー精神が足りない」ということを言われていたんですね。

 だからかのんに「私達も負けません!」と返されてちょっと二人とも面食らうんですが、かのんもすぐにハッとして詫びパッションします。ここはやはりかのん自身の中にある「迷い」が見て取れますね。「負けない」「勝ちたい」とは当然思っているけれど、「何が何でも勝たなきゃいけない」とまでは思えない

 

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ル~ルル♪ルルルル~ルル♪

 

 サニパ専用お悩み相談スペースで笑っちゃった。言わずもがな、5話で千砂都がグソクーカーの行く末を相談していたのと同じ場所ですね。2期ではペヤングが座ってそう。

 6話でもかのんと相談するシーンはあったんですが、岡田は基本的に相手の言う事を否定しない上で自分の考えを伝えてくれるので非常にお悩み相談向けの性格してますよね。Liella!は全員一年生ということもあり、単にライバルというだけでなく「良い先輩」でいてくれる二人の存在は重要ですね。そこだけでもやはりこの12話で2人の存在意義を改めて感じさせてくれたんですが、やっぱりライブシーンが無いのは不遇過ぎでしたね。

 

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あ た り ま え 体 操

 

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 ここ1周目はなんとも思わなかったんですが2周目にふとあたりまえ体操してるのに気づいてしまって堪えきれなかった。ますだおかだとかCOWCOWとかお笑い芸人が登場しすぎなんだよなぁ…虹ヶ咲にもオードリー出てましたしね。出てねぇよ。

 

 サニパとの関係性と言えばちょっと飛びますけどクゥクゥの決意にも熱いものを感じましたね。

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「”偶”によって満ちる………!」

 

 特にクゥクゥは極端なくらいのスクールアイドルオタク描写があっただけに、「今日だけはファンをやめマス!」の発言は非常に良かった。勝てる勝てないではなく、かのんのシーンと合わせて既に「対等な関係」になったという描写が良いですね。ただクゥクゥ、ラブライブ東京大会当日にライバルグループの等身大パネル背負って走ってるのはぶっちゃけ利敵行為ですし結ヶ丘の生徒に見られたら普通に誤解されると思いますね。

 

 

★本番当日

 妹に二度寝を予知される姉なんていないんだよなぁ…

 

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 ペヨングすみれも、ドッペルゲンガーじゃなくてちゃんと実在してたんですね…ワンチャンすみれの不安が生んだ幻覚かとも思っていたので。

 この謎アングルも良いですしそもそもすみれの巫女姿が完全にひだまりP得です。このシーンだけは入れてくれて本当に助かった。

 

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ノ ブ ナ ガ

 

 千砂都のマルに対する執着だけはマジで意味が分からなかった。かのんの家のフクロウとか「まんまるが好き」ということはアニメ前から知っていましたが、アニメで話が進むにつれ澁谷かのんへの執着、そして丸への執着がちょっと理解に苦しむレベルになりつつありますね。この次の地面に輪っか5つ描いてるシーンも普通に怖いし、それを見ながら「大きなマルになったねぇ…」とか独りごちてるのもサイコで怖い。その下にかのんちゃん達埋めましたって言われても信じるレベルでしたね。主人公(リエラ)は冷たい土の中にじゃん…

 あとなんで皆半袖で練習してるの?他グループはみんな練習着も夏服と冬服があったと思うんですが、リエラだけ寒い寒い言いながら全員半袖だったのは謎でした。今回はラブライブ!2期9話「心のメロディ」をオマージュしていると思われますが、もしかして当該回でミニスカで雪かきしようとしてた穂乃果達を皮肉ってるわけじゃないよね?

 

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 恋サヤ、ラブライブ!シリーズで唯一の金で繋がってるカップリングじゃん…いや「金で繋がってる」は語弊があり過ぎるんですけど、まぁでも恋ちゃんパパが仕送りしてくれたお陰で再雇用できたわけですからね…

 

 

★7年越しの「心のメロディ」

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怖っ…

 

 いや、Liella!が結ヶ丘を代表する存在になっている事については納得できたけど、だからってこれはちょっとした宗教でしょ…ちょっとeuphoria思い出してしまった。みんな、変だよ…

 そしてこの全校生徒に応援されながらライブ会場まで走っていくシーン、完全にラブライブ!2期9話「心のメロディ」をなぞってますね。Aqoursにまで語り継がれたμ'sの伝説の名曲「Snow halation」がアニメで披露された回でしたが、ライブシーンの完成度と裏腹にミニスカート雪かきに代表されるかなり無理のある設定と演出の陳腐さが非常に悪目立ちした回で、かのサンシャイン!!2期7話が放送されるまではラブライブ!アニメシリーズ歴代ワースト回としてひだまりPブログでは紹介していましたね。今はスーパースター8話もあるのでワースト3位です。

 

当時のひだまりPの怒りが蘇る蘇る…

 

 ラブライブ!無印2期感想ブログのリライト作業が2期8話でちょうど停滞してた所にこれなんだもんな…

 例えばみんなに応援されながら走る所もそうですし、一人ずつモブから名前呼ばれるシーンよかも「心のメロディ」でありましたし、そもそもライバルであるサニーパッション(A-RISE)と対等な立場であることを強調するシーンとか、ミニスカとか、そして何よりステージがそのまんま

 こうした演出、ひだまりPにはあの日雪だけに大滑りだった無印2期9話のリベンジとしてこうなったのかな、と思えましたね。あの日に置き忘れてきたパズルのピースを7年越しに拾い直した気持ちでした。まぁそうだったとしても「心のメロディ」よりよっぽど酷い「結ばれる想い」があった時点で完全敗北してるんだけど、今はその事は一旦忘れましょう。

 

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(スノハレじゃん…)

 

 なんですけど背景の坂とかはちょっとAwaken the power要素も入ってますね。過去から学んでいくスタイル。

 っていうか原宿表参道のこんな場所をよく封鎖できましたね。まぁいいか、それは良いや。できたって言ってるんだからできたんでしょ

 

新曲「Starlight Prologue」

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いいじゃん…

 

 このクリスマス感を出しつつ主張が強すぎない衣装めっちゃ好きですね。パステルカラーなのも良い。それぞれメンバーカラーなんですけど、上掛けの色が少しずつグラデーションになってる所がポイントですね。ん?上掛け…スタァライト…?まぁいいや。

 何より「プロローグ」って言われちゃうとね。完全にこの曲名でオチが付いている。ここまで恋の扱いが酷すぎるとか、サニパのライブシーン一切なしかいとか色々このアニメの足りない部分を指摘してきましたが、これが丸ごとプロローグだったんです!と言われてしまうと流石に納得…できるわけないだろ。ないけど、まぁオチは付いた形になりますね。こんなん絶対ファーストライブでアニメ2期制作決定発表じゃないですか。ペヤングすみれの処女賭けてもいいですよ。早ければ初回公演のDay2で発表してもおかしくないぞ。泣ける気がしない。声優も苦笑いしてそう。

 2ndシングルユニット投票新プロジェクト発表もするんだよあくしろよ学校への融資ストップするぞ。

 

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 しょーもな。これは9話のチクレカスが伏線になってましたね…

 

そして───

 

 

★これからが彼女たちのはじまり

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この敗戦が最強のスクールアイドルを生み出すこともある。

 

 スノハレの験まで担いで勝ちフラグは十分だったLiella!ですが、惜しくも東京大会優勝はサニーパッション。イメージ的にウィンターソングはアウェイっぽいんですけどよく勝てましたね。あの回し蹴りで勝ったんだろうか…

 

 類稀な音楽の才能と、人を惹き付けるカリスマを持ち合わせた稀代の主人公、澁谷かのん。そんな彼女が最高の仲間と、最高のステージを披露してもなお届かない星があることを思い知らされました。スクールアイドルの世界で遥か先を行くサニーパッション、そしてお笑いの世界で遙か先を行くますだおかだM-1グランプリの道は遠く険しかった。

 たとえ努力を怠らず研鑽を続けていても、大きな壁にぶつかる事もある。それは歴代の諸先輩方も例外ではありません。μ'sの誰もいないファーストライブAqoursの得票数ゼロ。かつての先輩達は皆その挫折をバネにしてそれでもスクールアイドルとして誰かに想いを届けたいという気持ちを胸に、そこから再起して大きな輝きを掴み取りました。

 思えばこのラブライブ!スーパースター!!、澁谷かのんの物語はそもそも挫折から始まっていました。歌が大好きだけど、人前で歌を歌えない。そんな失敗を積み重ねて未来への希望を失くしてしまった彼女が、唐可可との出会いを経てもう一度音楽の世界、スクールアイドルの世界へと足を踏み入れることを決意します。

 ずっとステージで歌うことさえできなかったかのんにとって、「ステージで歌を歌えるだけでも幸せ」だったという気持ちは理解できます。だからこそ最初はライブステージへの拘りとか、パフォーマンスのクオリティ以外の部分でも「勝つこと」に拘る気持ちが理解できませんでした。

 しかしサニーパッション増田の言った通り、この敗北でかのんは思い知ります。「負けたら何も残らない」ということ。いや、「何も残らない」わけではないかもしれない。けれども仲間達と努力を積み重ね、学校の皆と一丸になって作った最高のステージ、最高の音楽。負けるということは、それらを届けたかった沢山の人へ届けられず、「予選落ち」の名の下に忘れ去られてしまうということ。そうして悔し涙を飲んできたネオ・ミュータントガールズほか数多のスクールアイドル達の上に、歴史に名を残せるたった一握りのスクールアイドルがいること。

 「歌えるだけで幸せ」だったかのんは、「みんなのために歌う」ことを知り、そして「みんなの想いを受け取った歌でラブライブに勝ちたい」気持ちを知ることになりました。

 あるいはサニーパッションとの雌雄を分けたのは、その「勝ちたい」「負けられない」という気持ちだったのかもしれません。パフォーマンスでは既に対等。しかし応援してくれる皆の想いに応えたいという想いの強さが明暗を分けた。

 まさに「Starlight Prologue」という曲名の通り、この挫折をバネにして彼女たちの物語がここからまた始まっていくのでしょう。

 

 

★まとめと総評

 

 トゥデイズ チサキンズ ポイント。

 

 ドゥルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル………

 

 

 

 

 

 

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99点(ナインティナイン)~!!!

 

\イェー!!/ \フゥー!!/ \ギャラクシー!!/

 

 ということで最終話、単体での評価としては非常に高いです。8話以降主にキャラ描写の偏りと不足という点で賛否の分かれる回が続いていましたが、その中でも最大限にこのアニメ1stシーズンを纏め上げることができた最終回だったんじゃないかとひだまりP的には思っています。本文中で言ったように、「”オチ”は付いた」、という形ですね。おあと(2期)がよろしいようで。

 具体的には葉月恋の学校への想いとその成就廃校問題の決着Liella!とサニーパッションの関係性お守りを通じたすみれとクゥクゥの関係性ペヨングすみれの実在結ヶ丘におけるLiella!の立ち位置かのんのスクールアイドルへの向き合い方千砂都は…なんかサイコ過ぎて分かんなかった。などなど色々ですね。

 「最初からアニメ2期が前提になっているような構成はどうなのか」という意見も見受けられます。それは実際そうで、何がプロローグだという話ではあります。やはりこの1クールだけでは描写しきれなかった要素が多数ありますし、それを2期で回収するからOKという投げ方はあまりに乱暴です。最初から2クールアニメとして作っているならともかく。とは言え、上に書いたようにこれ以外では12話単体でその不足分のかなりを回収できたことも事実で、そこは評価したいですね。

 

 

★総括

それでは、各話の得点を振り返りたいと思います。

 

#1『まだ名もないキモチ』・・・94点

#2『スクールアイドル禁止!?』・・・95点

#3『クーカー』・・・100点

#4『街角ギャラクシー☆彡』・・・100点

#5『パッションアイランド』・・・90点

#6『夢見ていた』・・・100点

#7『決戦!生徒会長選』・・・55点

#8『結ばれる想い』・・・20点

#9『君たちの名は?』・・・80点

#10『チェケラッ!!』・・・48点

#11『もう一度、あの場所で』・・・100点

#12『Song for All』・・・99点

平均点・・・81.7点

 

 サンシャイン2期より平均高いじゃねえか!いやサンシャイン2期の平均点は3,076億9,230万7,762点だったのでサンシャインの圧勝ですね。2期4話の4×10^12点があったので。まぁ、それはともかく。

 

 ひと目見て7~10話がものすごい勢いで足を引っ張っているのが分かります。この理由も含めて、「ラブライブ!スーパースター!!はどんなアニメだったのか?」「何が良くなかったのか?」について紐解いていきたいと思います。

 

評価できる点

 このアニメの良かった点としてまず挙げられるのは何といっても主人公・澁谷かのんの描き方につきると思います。ラブライブ!シリーズの主人公としては異色な、ちょっとやさぐれた女の子として登場。しかしその胸には音楽への熱い想いが燻っていました。そんなかのんが可可との出会いをきっかけにスクールアイドルに目覚め、歴代主人公の中でも類を見ない音楽の才能を発揮しつつリーダーシップも取ってスクールアイドルLiella!を作っていく

 …なんかアレですね、このあとMIRAI TICKETが流れそうな文章になってきましたが、蜜柑休題。この澁谷かのんの描き方についてはひだまりPブログでもずっと肯定的な見方をしてきました。1~3話では歌えないというコンプレックスを抱えていたかのんがスクールアイドルをきっかけにしてその溢れる才覚を解き放ち、いきなりイベント入賞を成し遂げるという展開がまるで少年漫画のような爽快さでしたし、そこからもメンバー皆の気持ちに寄り添って迷いなく進み続ける主人公としての姿はまさに歴代主人公顔負けでしたね。

 実際、CHISAKINが100点を付けた回はいずれも澁谷かのんにフィーチャーした回と、かのんがメンバー獲得に動いた回です。

 総じて、「澁谷かのんの物語」として見るならばこのラブライブ!スーパースター!!というアニメは100点満点だと思います。

 

良くなかった点

 上記とは逆に良くない点としては、これも明確なんですがかのん以外のキャラクター描写が薄すぎるという点です。先程「澁谷かのんの物語として見るならば」と言いましたが、ラブライブ!シリーズは基本的にスクールアイドル一人一人に対してのファンがおり、グッズ展開をし、ときにはセンターやキャンペーンガールを投票で決めることもありました。このような性質を持つラブライブ!だからこそ、キャラクター描写がかのんだけに偏り過ぎるというのは歴代ラブライブ!との差別化を図った結果であるとしても看過しがたい欠点であると思います。

 

 具体的に言うと、まず最も不遇なのが葉月恋。これは8話と11話の感想記事を読んで貰えれば全部書いているので簡潔に言うと、「結ヶ丘をより良くしたい」という想いただ一点で頑張ってきたのに、「普通科の全生徒から総スカン」を食らい、あまつさえ「歴代最悪と言われた三船栞子に並ぶ無能生徒会長」と言われ、メンバー加入後もその名誉を挽回するような描写はほぼなくレズ系エロサイトを見ていたという描写があったのみ。これがこの12話までの葉月恋の全てです。流石にこれはキャラ崩壊が酷すぎると言われたラブライブ!サンシャイン!!の黒澤ダイヤですら絶句するレベルだと思います。

 せめて恋が(千砂都の転科以降)Liella!でただ一人音楽科の生徒であり、かのん達とも元々は(建前だとしても)「音楽」のことで対立していたのですから、「葉月恋の音楽」については最低限掘り下げないといけなかったと思います。かのんが(本来の力を出せなかったとは言え)合格できなかった音楽科に恋はいるのですから、例えばバレエ経験を生かしてμ'sを指導していた絢瀬絵里のように、その才能をLiella!で発揮する描写がほぼ無い(一応ノンフィクション!は葉月恋作曲という名目になっているが言及・描写はなし。後は取ってつけたような練習シーンがあったのみ)のでは我々はどうやって葉月恋を推せというのでしょうか。

 

 次に酷いのが平安名すみれ。恋は描写が少なすぎることが問題でしたが、すみれはある意味ラブライブ!シリーズの一番悪い所がでたキャラだと思います。要するにキャラ崩壊し過ぎ。本人も気にしていたグソクムシネタをひたすら擦られ続け、オチ要員として「ギャラクシー!」を連発するイジられ枠。そしてこれは10話の記事で言及しましたが、歴代のいじられキャラであるにこや善子と比べてもすみれはそもそも本来彼女の芯であり誇りであるはずのショウビズ活動に関する言及がほぼないのが問題です。ただただ「ずっと脇役だった子」という属性しか付けられなかった中で、選挙をすれば1票も入らない描写が2度も続き、メンバー(特にクゥクゥ)からは辛辣な扱いを受け続けるというマイナス面だけずっと強調され続けているのはすみれ推しのひだまりPとしても見ていて忸怩たる思いでした。

 そういったすみれの描写の悪さが顕著に出ていた7話と9話は、上述した恋の8話に次いで低い評価になっていますね。

 

 この2人に比べると千砂都・クゥクゥは比較的マシ。まぁクゥクゥはすみれに対してずっと悪態をつきまくっているのが流石に鼻につくという意見が多くやや株を落とした所もあるものの、かのんと二人三脚でやっていた頃にスクールアイドルへの想いやまっすぐな心については十分描かれていましたし、千砂都もかのんの幼馴染枠としての関係性、とりわけお互いがお互いの存在を意識して高め合っていくような良好な関係が描かれました。また旧クーカーが最初の試練を乗り越えられたのは千砂都のダンス指導があったことが非常に大きく、「音楽科」である千砂都の才能が十分に描写されていたと言えますね。

 

 あとは忘れてはいけないのがサニーパッション。ライバルキャラとしては異例の早さでかのん達と打ち解け、スクールアイドルの先輩として千砂都やかのんの相談に乗るシーンもあったり良い関係性が描かれますが、その割にライブシーンが全話通して一切なく回し蹴りと一発ギャグの人という印象しか付けられていません。折角ただでさえ少ないLiella!メンバーの描写を削ってまでメイン回が与えられているのにこれというのは、流石に閉店ガラガラと言わざるを得ないと思います。

 

 ということで、そもそも過去3作と比べてメインキャラが9人から5人に減っているのに、きちんとキャラが描けているのが3人しかいないというのはあまりにも酷い話です。

 それでは、「何故こうなってしまったのか」を考えるためにラブライブ!スーパースター!!の構成を紐解いてみたいと思います。

 

「主人公キャラ」の違い

 ひだまりPは「澁谷かのんが優遇されすぎている」と言いましたが、過去作品の主人公である高坂穂乃果や高海千歌も主人公としておそらく出番やキャラの掘り下げという意味では最も優遇されていると思います。

 違うのは穂乃果や千歌の場合、彼女たちのエピソードがそのままμ'sと音ノ木坂学院、またはAqoursと浦の星女学院のエピソードになりやすい、という点ですね。逆に言うと穂乃果や千歌が優遇されていたと言うよりは、メインになるシナリオを動かす上で彼女たちがキーになっていたと捉えることができます。

 

 ここに大きな違いがあるのは、穂乃果も千歌も「リーダー」であり、「発起人」であり、なおかつ「学校を救いたい・スクールアイドルとして輝きたいという想いを持って動いている」のに対して、Liella!は「かのんがリーダー」、「クゥクゥが発起人」、「恋が学校を救うために行動している」といった風にバラけてしまっているのです。それが悪いということではないんですが、結果的にかのんだけ動かしてもそれがLiella!のストーリー、結ヶ丘のストーリーに必ずしも結びつかないために「澁谷かのんだけの物語」としての側面が目立ってしまうのではないかと思います。

 例えばかのんと恋の対立を取っても、「学校をより良くしたい恋」「スクールアイドルがやりたいだけのかのん・可可」の対立になってしまっているため「一体なぜケンカしてるのか」が分からない状態です。この結びつきを恋しか知らない状態でストーリーが進んでしまったから、7~8話のような支離滅裂な展開になってしまったのではないでしょうか。

 

「ラブライブ!」のお約束について

 上記とも関連して、「ラブライブ!」のアニメシリーズには歴代続いてきた構成上の「お約束」があります。それは勿論キャラ達は意識していないのですが、例えば第1話はスクールアイドルを始めるきっかけとその上で障害となる問題が提起される。また生徒会長との対立が描かれ、1話の最後はライブシーン。そして3話がファーストライブ。その後はメンバーを増やして、メンバー全員が揃った所でラブライブを目指す終盤にさしかかる、というのが共通した構図になっています。もっと細かい所まで掘り下げれば他にもあると思いますが、とりあえず。虹ヶ咲は例外も多いですが、それでも1話目の構成などある程度これに則っている部分も多いですよね。

 

 ラブライブ!サンシャイン!!は作中でも千歌の憧れとしてμ'sの存在が明言される正統な「続編」ですから、キャラクター的にも似た立ち位置の子がいて、無印ラブライブ!を踏襲するような展開があるのも良かったでしょう。しかしながら、上でも書いたように世界観は同じでも完全に違う物語であるラブライブ!スーパースター!!がこの「お約束」を踏襲する必要があったのかは、甚だ疑問です。むしろ無理やりお約束の構成に合わせていった結果無理が出たのでは?と思う所も多数あります。最も顕著な例としては生徒会長との対立です。恋が生徒会長としてスクールアイドルに反対する、という結論ありきだったのが脚本を歪曲させたのではないか、そう思ってしまうのも仕方のないところです。

 

 実際問題、「澁谷かのん」に関する所でこれまでのラブライブ!シリーズの型に嵌まらない展開はおおむね当たっている一方、これまでのラブライブ!シリーズのお約束を継承したような展開についてはほとんどが滑っているという点を見ても本作の構成のちぐはぐさが見て取れます。

 

虹ヶ咲との比較

 サンシャインが正統派の続編であったのに対し、虹ヶ咲学園は外伝的な位置づけにあり、アニメの構成もラブライブ!シリーズのお約束のいくつかは踏襲しつつも特殊な進み方をしていました。

 具体的に言うと虹ヶ咲はソロ活動を重視し、1~9話までメンバー一人一人に毎回フォーカスしてソロでライブをするという構成が特徴的でしたね。

 虹ヶ咲学園が評価されている最も大きな要因は、キャラ一人一人をきちんと掘り下げられていて尚且つ極端に不遇だったり、イジられるだけのキャラがいないという点です。その反面みんなで一緒に作るライブから得られるカタルシスや、同じ目標に向かって進んでいく青春物語のような熱さは切り捨てた、と言うと語弊がありますが、少なくとも過去作品と比べてそこは重視しない構成になっていると思われます。

 

 一方このスーパースター!!は、キャラ全員を丁寧に掘り下げるということは重視せず、澁谷かのんの「私を叶える物語」として作られています。2期が「みんなで叶える物語」になるのかもしれませんが、今時点であるかどうか確定もしていない2期の話はできませんので、1期のみで評価するとやはりこの取捨選択が明暗を分けたのではないかとひだまりPは考えます。いくら過去作に囚われないと言っても、キャラコンテンツとして制作している以上澁谷かのん一人をフィーチャーするのは悪手だったんじゃないかと。

 概ね評判の良い虹ヶ咲とはちょうど正反対の方針になっており、スーパースター!!の悪い点が浮き彫りになっているように感じられますね。

 

8話の大滑りと「文脈曲」について

 8話に対する感想は8話の記事に書いているので割愛しますが、歴代でも例外なく神回であった「全員加入回」であるにも拘らずスーパースター8話の内容があまりにも支離滅裂であったことは返す返すも残念でした。

 そしてこれにより、8話にて登場した珠玉の「Wish Song」もロクな文脈を付与できないまま埋もれてしまうことになってしまいました。

 

 ラブライブ!における「文脈曲」とは読んで字の如く「文脈を秘めた曲」、つまりただ曲として完成度が高いだけでなく、ストーリーから得られる感動、あるいはカタルシスが曲の中にも詰まっており、エモーション効果が爆発的に高まっている曲を「文脈曲」と呼んでいます。代表的な文脈曲と言えば、μ'sでは「START:DASH!!」「ユメノトビラ」Aqoursでは「未熟DREAMER」「WATER BLUE NEW WORLD」でしょうか。他にもいっぱいありますが。

 スーパースター!!と同じくストーリーの粗が指摘されがちなラブライブ!サンシャイン!!でさえも、1期のうちから「未熟DREAMER」に「想いよひとつになれ」という、非常にレベルの高い文脈を連続して生み出しています。これで行くとスーパースター!!は8話と10話の内容が良くなかったのがとにかく致命的で、「文脈」が見つけられそうな曲と言えば「常夏☆サンシャイン」位しかありません。Liella! 1stライブではアニメの振り返りが極めて重要になりそうなだけに、ただシンプルに「曲が弱い」というのはあまりにもシンプルで残酷な今のLiella!の弱点です。星飛雄馬の軽い球質くらい致命的と言っていいと思います。

 

 ただ曲と言えばこれに触れないのはフェアじゃないので、「未来予報ハレルヤ!」はひだまりPめちゃめちゃ評価してます。これは歴代シリーズの「第一話挿入歌」の中でもトップレベルの出来で、この「ヨッシャー!」はライブで聴くのも楽しみですね。

 

 そんなこんな。以上がひだまりPの「ラブライブ!スーパースター!!」アニメ第一期総括でした。ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

 

 来るLiella!ファーストライブですが、ひだまりPは岡山公演のチケットは両日当選、後は12月の福井公演にも申し込み予定です。ライブが開催されたら、またお会いしましょう。

 

 それでは、よきラブライブを!

 

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前回までのラブライブ!

 

 

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