後編!
この記事はスクールアイドルミュージカル感想記事の後編です。前編をまだお読みでない方はこちら↓からお戻りください。
【前編】(一部歌詞有)スクールアイドルミュージカル計4公演に行ってきた感想&レポート~それがスクールアイドルなんだ!~ - ひだまりPはこう語った
[2023.08.04]記事中のうろ覚え歌詞を正しい歌詞に修正しました。
スクールアイドルミュージカル(第二幕)
M17 親友
〽きらりひら~(あ、そ~れ!)
きらりひら~(あ、ヨイショ!)
(※中略)
アンズちゃんが~舞い降りた~!
椿のきらりひらり舞う桜盆踊りアレンジめっちゃ好き。でもこれ前半のくだりだっけ。まぁいいや前半で言及してなかったんでここで書いときます。昔のμ'sのSIDで海未ちゃんが真姫ちゃんに「海未ちゃん日舞やってたからリズムが裏なのよ」って指摘されたくだりがあったと思うんですけど、アイドルとは縁遠い世界に生きてきた椿の皆がこういった細かい所にも現れてて良いですよね。
あとアンズが楽しそうにアイドルの練習をする椿のメンバーに「まるで幼稚園の仲良しクラブじゃん」って、割と笑顔で辛辣な指摘をするシーンもあったんですが、実はそれこそが『M8: なりたい自分』のパートでアンズが「もうずいぶん見ていない」と歌っていたものだと考えるとアンズも純粋な嫌味で言ったわけではなく、ある種の懐かしさを感じて出てきた台詞なのかもしれないですね。
ただこの辺のシーンの前後関係はあやふやです。きらりひら盆踊りはもしかしたら第一幕の方だったかも。現状見返す手段がないから前後しててもお兄さん許して!
ユキノがケンミンの焼きビーフンのお使い頼まれてたのもこの辺でしたっけ。それも第一幕だった気もする。ご当地ネタいいゾ~これ。
ルリ「アンズ部長!ダンスを教えて欲しいであります!」
アン「ファッキンビッチ滝桜!(※言ってない)私はもうアイドルをやめたの!部長はあなたがやればいいでしょう!ぷいっ!」
ぷいっ!?
「ぷいっ」とか今日び歩夢でも言わねえぞ。
アニメですら出ない台詞が出てくるのもミュージカルの良さですね。ワンチャンアドリブ説もあるかも。
ユズ「私っ…自転車にも乗れないんです!!」
運動音痴だからという理由でルリカからのアイドル部の誘いを固辞するユズハ。これもスクールアイドルあるあるですよね。まぁ中にはライブの日程まで決まってから運動音痴がバレた奴とかもいたけど、蜜柑休題。
ルリ「そういえば、今までユズハちゃんにこうやって断られた事なかったよね。」
ここ岸辺露伴。
この台詞のせいで4回公演中4回全部ここで脳内岸辺露伴が登場してしまった。
(歌:椿ルリカ、皇ユズハ)
(※かなりうろ覚え)
小さい頃からいつも一緒 いつも優しく
お姉ちゃんみたいに甘えられる存在
隣にいるだけで心があったかくなる
言葉なくても通じ合える
いつも一緒 他愛もない話だって
当たり前だった 笑顔で聞いてくれる
親友ってそういうもの
いつでも近くに感じる人
でも今のわたしは少し変初めてかもしれない
そんな顔を見るのは
素直になれない自分がいる
彼女が現れてからの私は
これまで目にしてきた日常に
心がチクッと痛む
わからないこの戸惑い
この気持ち 教えてよ
ユズハも結構歌い方うまいじゃん。「素直になれない自分がいる」からの感情の籠もり方すっごい引き込まれますよね。
まあ歌の内容としてはルリカとユズハのお互いから見た関係性と、それがアイドル活動を通じて変わっていくことへの戸惑いを歌ってるんですよね。何それ。爆速友情ヨーソローやめろや。でもひだまりP、ネタバレ無し記事の方でも「この作品を見たら理事長を好きになるかユズハを好きになるかしか選択肢はありません」って書いてたんですけど、やっぱこの幼馴染の関係性がラブライバーにとってはあまりにも心地よすぎると言うか、こんなんもうラブライバーの安心毛布ですからね。ユズルリは。ユズルリってなんかゆるゆりみてぇだな。
M18 目指せメジャーデビューRep
目指せメジャーデビューのメロディで会話劇してるの好き。滝桜いつもギスギスしてんな。ミスズの伸びやかな「お互いがライバルでもある事を忘れないで~♪」誇らしくないの?あと切磋琢磨がどうこう言ってましたね。
アンズが椿咲花に転校して以降2年生は個人プレーに走り、そして1年生を指導するべき部長のミスズは後輩達を突き放すようになり団結力を欠いてしまった滝桜。あれだけイキってた滝桜がアンズが抜けただけでものすっごい凋落してるのは正直ちょっとだけオモロかったですね。
(歌:滝桜女学院アイドル部)
アンズ先輩が(アンズが)いたときは
何となくうまくまとまって
同じ方向向いてた
アンズ先輩が(アンズが)いないだけで
こんなに こんなに違う
まるで別のチームみたい
たった一人いなくなる それだけなのに…
クッソ情けないエレジー恥ずかしくないのかよ?しかもこれ『M21 なくして初めて気づくこと』でもう一回歌ってますからね。
あとこれはしょうもない話なんですけどアンズがいない時の凋落っぷりが551のある時~!ない時~…のCMを彷彿とさせるんですよね。アンズ先輩がいた時~!
まぁ実際、大阪公演の一部の回ではユキノがお母さんに頼まれてた買い物が551の豚まんだった回があったらしいのでこの曲の元ネタが551のCMという可能性はあながち否定できないんですけどこれ全国区の読者に伝わってますかね。分からない人は「551 あるとき」とかでググって下さい。
M19 深まる仲
アンズが幼稚園の仲良しクラブじゃんって言ったのこのパートかも。
逆にアンズがいることで右も左も分からなかった椿のメンバーが楽しくアイドルの練習できてる描写があって、アンズがないとき~!になってる滝桜の凋落っぷりとの対比になってるんですよね。すっかり仲良し5人組から、アンズを含めた6人組になっている椿咲花アイドル部。マドカ理事長もニッコニコ。
そういえば週間テストで上位をキープできなければ即廃部という、これまたラブライブ!あるあるみたいな条件を出されてましたね。上位どころかユキノと同学年になるかもしれない危機だったマーヤのせいで即終了するかと思われていましたが、これは後にアンズ先輩があるとき~!の椿咲花パワーで難なくクリア。
そして──
ここどういう感じだったかかなりうろ覚えなんですけど、「目指せメジャーデビュー」と「伝統の系譜」をかけ合わせた曲が登場したんですよね。アンズ入り椿の6人で「何かを始める時のワクワクドキドキ~」で始まるのが「目指せメジャーデビュー」のメロディになっていて、アイドルへの一歩を踏み出したルリカ達の楽しい気持ちが表現されているのと同時に、後半では椿のアンサンブルのメンバー達が「伝統の系譜」のメロディを歌うんですよね。
その最後の「いくら想像してみても 私には関係ない世界──」って歌詞は一番最初にルリカがTVでアンズを観た時に歌ってた歌詞と同じで、つまりこれが今のルリカが特別な存在(アイドル)への一歩を踏み出したことを強調しているんだと思います。
これはアンズが最初に椿に来たシーンでもアンサンブルによる歌で「もうすぐメジャーデビューの噂あれはウソなの!?」みたいなパートがあったと思うんですけど、要するにこの時点まではルリカ達がアイドルに憧れるように他の、この物語では「モブ」となっている生徒たちもまた同じようにアイドルに憧れたり、アイドルの話をしたりしていたんですよ。「その中の一人」でしかなかったルリカが、アンズとの出会いによって他の皆とは違う存在(そう見られている)になったって事ですね。
それもそうだし、やっぱこの何だろう。この「スクールアイドルミュージカル」という作品の中では「モブ」としての役ではあるけど、単なるバックダンサーじゃなくてこういう所でやっぱり彼女たちの「輪郭」が見えるのはすごく良いですよね。まぁ実際のアンサンブルのメンバー達はモブどころか一人何役こなすねんって感じで下手したらメインキャストより忙しそうで凄かったですが。
M23 君と見る夢Rep
お ま た せ。
君とみる夢
(歌:椿咲花アイドル部)
いつでも大好きなあなた追いかけて
いつでも全力の君を助けるから
いつかは同じ夢信じどこまでも
走り続けていたいねあなたが追い求めた
世界はどんな景色なの?
どれだけ想像したって
私には分かるはずがないよね
毎日慌ただしく(慌ただしく)
ただ何となく過ぎていくと
心のキラキラときめく瞬間
気がつかず 見逃してしまうよねいつでも大好きなあなた追いかけて
いつでも全力の君を助けるから
いつかは同じ夢信じどこまでも
走り続けていこうね(※ラスサビ)
いつでも大好きだから 君追いかけて
いつでも全力の君を助けるから
いつかは同じ夢信じどこまでも
走り続けていこうね離れずにそばにいるね
いつまでも 君とともに!
※パート分け
ルリカ、アンズ、ユズハ、ユキノ、ヒカル、マーヤ
全員パート及び不明な部分は黄緑色
ラスサビまで歌ったのはM27の文化祭ライブですが同じ歌詞を2回掲載するのもアレなので纏めて載せました。
Aメロのヒカルとマーヤのパートですが正確には「私には」がヒカル、「分かるはずがないよね」は2人のデュエットです。なのでこの曲には(ショートverでは)マーヤのソロパートはありません。
アンズのパートは超重要なのでたぶん正確に書けているはず。「毎日慌ただしく」に「あわただしく~」とコーラスするのがユズハで、「ただ何となく過ぎて行くと」の「すぎていくと」でハモるのはユキノです。
あとはカーテンコールで披露されたフルverには超畳み掛けてくる早口パートとかあってあれめちゃめちゃよきでしたよね。マーヤのテンポ気持ち良すぎだろ!ただその時はひだまりPペンじゃなくてペンライト振ってたので歌詞は記録できてません。CDのリリースま~だ時間かかりそうですかね?蜜柑休題。
いや、間違いなく今回のミュージカルのMVP楽曲ですよ。マジで好き。この曲自体がミュージカルのストーリーの骨子になってるって部分もあるんですけど、この曲って作曲がアンズで作詞がユズハなんですよね。アンズ作曲できんのかよお前桜内みてぇだな!?まぁそれいいとして。重要なのはユズハが作詞って部分なんですよ。
「いつでも大好きなあなた追いかけて」「いつでも全力のキミを助けるから」って部分はルリカとアンズのパートで、言うまでもなくこの2人の関係性を表しているのと同時に、ルリカとユズハの関係性を表しているとも取れるんですよ。つまりはダブルミーニングになってるんですね。ゆりゆららユズルリ大事件じゃん。その意味を込めつつも、曲としてはルリカとアンズのために作詞して来たユズハの幼馴染お助け精神を思うともう友情と切なさ感じるんでしたよね?
マジで想いよひとつになれのそれじゃん。なんで友情ヨーソローRTAしてんの?この後の話ですけど紆余曲折あって1人欠けた状態で歌うってシナリオも想いよひとつになれを意識してると思うんですよね。人間的な客観的な見方をするならば、これは三角関係ですよ。けれども友情ヨーソローの考えが背景にあるならば、これは立派なユズルリです。
あと地味に歌詞を書き出したから気づいたんですけど、冒頭では「走り続けていたいね」がサビでは「走り続けていこうね」になってる所とか、「大好きなあなた追いかけて」がラスサビでは「キミ追いかけて」になってる所とかに関係性の変化を感じますよね。
そして椿咲花アイドル部の初めての曲「君と見る夢」をたまたま聴いてしまっていたのが滝桜の滝沢キョウカ理事長でした。
(歌: 滝沢キョウカ)
あの子のあんな笑顔
こうして見るのいつぶりかしら
あんな風に無邪気に笑える
あの子の本当の笑顔を
私は忘れてたなんて
歌っているときだけ
踊っているときだけ
解き放たれたように見せる表情は
いつだって魅力的だった
だけどあんな笑顔
もうずいぶん見ていない
私はあの子にずっと何を
押し付けていたんだろう
今のあの子にとって
プロを目指すことだけが
幸せではないと気付かされるなんて
ここほんと、ほんと凄いんですよ。キョウカ理事長役の岡村さやかさん、感情の込め方が本当に物凄くてこれ聴いてちょっと泣いちゃった。「歌っているときだけ、踊っているときだけ」のパートとか「解き放たれたように」の高音とか、本当に引き込まれすぎて歌って踊る幼いアンズとそれを見守るお母さんの”面影”が見えましたからね。
そしてこの曲は第一幕でも言及した通り、『M8 なりたい自分』でのアンズが歌った曲と同じメロディで対になってるんですよね。そして「もうずいぶん見ていない」という歌詞がどちらも共通になっていて、アイドルとしてメジャーデビューを目指すことや、滝桜女学院アイドル部をそれぞれ背負う立場になった中で二人が忘れていたものを象徴している歌詞になっています。
でもこの理事長エレジーが「君と見る夢」に含まれてるのはちょっとオモロいな。
M24 明日はきっと
トア「アンズ先輩!滝桜に戻ってきて下さい!
アンズ先輩が抜けてから、私たちは全然うまくいってません…!
こいつのせいで…!」
ミスズ「………」
迫真トアちゃん好き。そしてアンズ先輩が抜けてから全然上手くいってないのがあまりにも嘘偽りない真実すぎてちょっと笑っちゃいましたね。
書いてて思ったんですけど序盤の方でミスズにキレてるシーンとかこのシーンとかもしかしたらトアちゃんは別にそこまでデカい声で叫んでなくて、ただひだまりPの中でトアちゃんの迫真の演技が焼き付いてるために勝手にイメージを肥大化させてるだけかも。今ひだまりPの記憶の中だとヤンデレの妹がキレたシーンくらいキレてたようなイメージなんですけど、もしかしたらそこまでじゃなかったかも。あと「こいつのせいで」は言ってません。言ってはいない。
流石のミスズもアンズに今までの態度を謝罪し滝桜に戻るよう懇願します。その背景にはキョウカ理事長が心労で倒れてしまったことがありました。
ヒカル「そうだよ!理事長のことは気の毒だけど、アイドル部のことはもうアンズには関係ないだろ!」
マーヤ「アンズちゃん…私達を見捨てないよね!?」
551のアンズまんが居たからこそ初心者でも一致団結し、ファーストライブまで計画していた椿咲花メンバーはもちろん動揺しつつもこれに反対。しかしお母さんのことを見捨てられないアンズは滝桜へと帰ってしまいます。
ミスズもアンズを引き止めようとする椿のメンバーを必死に説得し、ややもすればちょっと嫌な役回りにも思えますが裏を返せばそれだけミスズにとっても滝桜にはアンズが必要だということを認めたことが伝わりますね。この辺の不器用ながらも自分の役割を真摯にこなそうとする所は往年の絢瀬絵里を見ているようでした。実際ラストシーンでアンズが部長になってからの彼女のキャラの変貌ぶりを見ると、ちょうど本家ラブライブ!の絢瀬絵里のμ's加入ビフォーアフターを大げさにしたような感じですね。
ルリカ「皆…明日はストリートライブの日だよ!来てくれるよね!?ハーバーランドの広場で待ってるから!」
全員「………」
神戸ハーバーランド広場は………
工事中でした。(1/29 大阪公演千穐楽当日)
バッドエンドじゃねーか!
(歌:椿ルリカ)
困ったときは いつも
みんなが助けてくれた
こんなに心細いのは
寂しいのは いつぶりだろう
どんなときも大切な人が近くに
いてくれるとは限らない
一人になりはじめて気づいたよ
交わした約束守るため
大事な約束守るため
どんなに辛くても顔を上げなきゃ
なのにこんなに涙が溢れちゃうのは
みんなといるあの時間が
楽しすぎたから
これも歌詞抜けあるかも。と言うか多分あります。
「どんなときも大切な人が近くにいてくれるとは限らない」ってフレーズは、今この状況のことを歌ってもいるんですけどルリカにとっては父親を亡くしていることにも結びついていると思うんですよね。それと同時に、ルリカはパパがいなくても「パパとの約束」を支えに明るく気丈に振る舞ってこられたけど、それは大切な友達が支えになってくれたことで助けられていたんだと気がついて、心細くなってしまったことが歌われていると思います。
そして言うまでもなく、「ファーストライブで試練」ってのもラブライブ!のお約束ですよね。このミュージカル全部に共通して言えることですが、ラブライブ!シリーズのお約束を継承しつつもそれを「ミュージカル」の演出にアレンジして落とし込むのがめちゃめちゃ上手いから凄くシナリオに引き込まれるんですよね。
M26 ゆめの羅針盤(コンパス)
ユズハ「私は…嫉妬してた!
アンズちゃんに親友を取られたみたいで…
でも、そんな自分が恥ずかしくて…!」
だから友情ヨーソローRTAじゃねえか!「君と見る夢」のユズルリVerも爆速で回収しててブルっちゃうよ…
スクールアイドルのはじまり
ルリカ「アイドル部は特別じゃなくても…普通の子でもできるの!」
ヒカル「アイドルって、特別な存在だろ?」
ルリカ「違うよ!だって私達は…スクールアイドルだもん!!!」
羽っ!!!
降らずにはいられないっ!!!
そういうこと!?確かにね、確かにこのシーンまで「アイドル」は出てきても、「スクールアイドル」というフレーズは劇中に出てこなかったんですよ。
つまり一言で言うとこれ、『スクールアイドルミュージカル』は、「スクールアイドル」の始まりの物語かもしれない、って事なんですよね。
まぁ公式がそう明言したわけではないんですが、上述の通り「スクールアイドル」という言葉がここでルリカが言うまで出てこず、「廃校問題」はあるのに誰もスクールアイドルμ'sの伝説を知らない点などもあって一応はこの説が有力視されています。
ラブライブ!シリーズって世代間の時系列に対する言及が少なくて、一応「スクールアイドル」と「ラブライブ(大会)」が存在している各アニメ作品を同一世界線だとすると、大会としてのラブライブは第1回優勝がA-RISEで第2回がμ's、そしてAqoursはμ'sに憧れてスクールアイドルを始めて第何回なのかは不明ですがラブライブで優勝しています。虹ヶ咲とLiella!のアニメ時空にもラブライブがあるのですが、第1回でないことからμ'sの世代より後であることが推察できる程度でそのほかの情報はありませんでした。一応時代を推測できる要素としてμ'sはガラケーだったのがAqoursは多くのメンバーがスマホを使っており、またμ'sとAqoursはビデオカメラで映像を記録していたのが虹ヶ咲以降はスマホカメラになっているなどでだいたいの前後関係は分かるようになっていますね。
μ'sより前のスクールアイドルと言えばラブライブ!スーパースター!!に登場する葉月恋の母、葉月花の頃はまだ「スクールアイドル」という名称はなく、「学校アイドル部」という部活名で活動していたという描写がありました。
もしもルリカ達が「スクールアイドル」という名称を広めたパイオニアだとしたら、彼女たちは葉月花より後で、A-RISEやμ'sよりも前の「初代スクールアイドル」ということになりますね。そういう…(前後)関係だったのか…
正直な話…そんな路線で来ると思ってなかったからあまりにも衝撃的過ぎましたね。
ラブライブ!という作品にとってスクールアイドルが神聖な存在であることは今更語るまでもないですが、そのスクールアイドルの「始まり」を描いてくれたことはもとより、主人公・椿ルリカという女の子を作品世界ではμ'sよりも先輩の、「スクールアイドルの第一号」たり得る存在として描いてくれたことには感謝と、尊敬の念しかありません。
それがスクールアイドル~!
(ゆめの羅針盤(コンパス)より)
ぶっちゃけトークなんですけど、この「ゆめの羅針盤」という曲だけ抜き出すと一番ミュージカルらしくもあり、それでいてB級感が溢れた楽曲だと思うんですよね。本当に一番すごいのはここまでのストーリーと「君とみる夢」なんですけど、この曲はなんていうか私達が始まる前に危惧していた「ミュージカル」という媒体の「B級感」に対するアンサーと言うか、とりあえずビール的な曲ではあると感じましたね。「こういうのだと思ってた」に一番当てはまる曲。
そして──
M27 君と見る夢 Rep2
南沖 鮎男(なんちゅう あゆお)[1965-]
岸本はん…なんちゅうもんを食わせてくれたんや………
これ説明いります?正直1回目この演出観た時は本当に鳥肌立ちましたね。ラブライブ!としてのストーリーも素晴らしいけど、舞台であることを活かした疾走感のある曲中の演出も本当に四万十川の鮎、アニガサキの歩夢です。
アンズのフォーメーションと歌唱パートを意図的に空白にして滝桜の学園祭に挑む椿咲花スクールアイドル部。「歌詞も抜けちゃってるしフォーメーションもバラバラ…!」とハラハラしながら見守る滝桜のアイドル部。そしてルリカ達の意図に気づくアンズ。
ここはアンズからしてみれば椿のメンバーに自分は恨まれていても仕方ないと思うところで、それに対して椿はこの曲があくまで「アンズを入れた6人の曲」であることを強調することでそのアンサーにしたんですね。ユズハが「作詞者としては完全な形でお届けしたかったですけどね~」と言っていたことからも、椿咲花のメンバーもちゃんと話し合って、悩んだ上でこの形で披露することに決めたということが伝わってきます。ちゃんと報連相している +2525838点。
そして全てを察してサビで乱入するアンズ。もう何これ。ラブライブ胸熱展開よくばりセットじゃん。
理事長が「…これで明日の取材は滝桜のエースが他校に電撃移籍!とかかしら?」って言ってたことでアンズが何を覚悟してルリカ達を所へ行ったのか分かるわけですが、まぁでも…そこはキョウカ理事長が何とかすることじゃないの?とはちょっと思いましたね。そもそも電撃移籍もクソもついちょっと前まで本当に移籍してたじゃん。
とは言えそこはアンズも母娘の夢、そして滝桜の夢だったメジャーデビューがお流れになってしまうことも覚悟した上で、ルリカ達を助けることを選択したわけですね。
このミュージカルの大事なテーマに「大事な約束より大事なことを探して…」というフレーズがあるわけですが、アンズにとっての大事な約束(メジャーデビュー)よりも大事なことは、ここにあったという事になります。
そして一方のルリカは、ライブが終わった後皆に「──私、学校のためって言ったけど…本当はスクールアイドルがただやりたかったんだと思う!」みたいな事(本当に台詞はうろ覚えです)を言ってたんですけど、ルリカにとっての「大事な約束より大事なこと」がこれだったことに加えて、これ本当に良い発言だったとひだまりPは良いと思ったんですよね。
「やりたいからやる」。これはスクールアイドルの原初のあり方だと思っていて、「学校を救う」というのは実は本質ではないんですよね。それはもう本家ラブライブ!1期3話の時点で確立しています。まぁサンシャインアニメ2期とかがその辺ちょっとブレてしまったせいで途中だいぶ失速してたのもありますね。(メンヘラみかんの誤謬)
まぎれもなくルリカにとってママを助けること、そして学校を継ぐことはそれまで自身の一番の目的だったんですが、スクールアイドルに関しては「やりたいからやる」。その精神を持ってくれているということが分かり、これも羽キャッチ不可避…いや、と言うかむしろお前が後輩達に撒いてたのか!?羽!?ルリお前だったのか…
トア「アンズ先輩と椿のパフォーマンス見て
泣いてましたよね部長~~~!w」
メスガキトアちゃんよき。
そしてそんなルリカとアンズ、娘たちの成長を目の前にしたマドカ理事長とキョウカ理事長もお互い意地を張ることをやめ、手を取り合って学校運営を続けていくことを決意します。
スクールアイドルの輝きが「大人」の行動を変える、というのは劇場版ラブライブ!サンシャイン!!における鞠莉ちゃんの母、そして浦女の統合先である静真高校の保護者会などがありましたが、それらは言ってみれば「スクールアイドル」に対する誤解を解いて認めてもらうことが主軸であり「大人」達の考えや行動そのものを変えてしまう例は今までありませんでした。
つまりスクールアイドルという輝きに惹かれることはあっても、それはスクールアイドルをとりまく世界だけの話で、その外側にいる人…それは「視聴者」である私達も含めてですが、そういった人間の変化については今まで描写されていなかったわけですね。
しかしこの作品のテーマである「大事な約束より大事なことを探して」というのは、スクールアイドルに限った話ではなく、「大事な約束」に自分が今まで積み上げてきた価値観、人生を当てはめてみれば、二人の理事長にとっても、そして私達にとっても、スクールアイドルの存在によって「変われる」というメッセージを秘めているのではないでしょうか。
M28 真っ白なキャンバス
椿滝桜女学院高等学校!!?!?!?!?
まさかの、まさかのSaint Aqours Snow方式。流石に統合は予想外でした。じゃあ滝桜と椿咲花という2つの高校の歴史はこれで閉幕ってこと!?そこがちょっと、この物語に続編は無いということを言われているようでちょっとだけ寂しくはありますね。
これはレポになりますが、大阪公演千穐楽では終幕後に観客全員がスタンディングオベーションしたところでキャストの皆さんがもう一度出てきてくれて、特にその場での新情報とかは無かったんですがルリカ役の堀内まり菜さんがいかにも何かしらの展開がありそうな、そしてそれを言いたくて仕方ないんだろうな的な態度のように見えたので、まぁ今現在でもアルバム発売以外の追加情報は無いんですがしばらくは期待して待ちたいと思います。
あとその時に堀内さんの提案で、「いつでも大好きなあなた追いかけて」「いつでも全力の君を助けるから」という掛け合いをキャストと観客でやりたいと言ってくださったんですけど、残念ながら当時はまだ声出しNGの時ではあったため一応やったけど我々は「心の中で」という体裁でしたね。
カーテンコールスペシャルステージ
カーテンコールスペシャルステージはライブパートです。ひだまりPもこの時ばかりはペンライトを振って応援。最初は皆のイメージカラーすら把握してなかったんですが、1回目の公演を観てこれはユズハの白一択だと気づき、以降はずっと白にしてました。
キャストの皆さんのステージだけではなく両理事長が乱入してきてルリカとアンズのファンクラブ(架空)の宣伝を始めたりCDの販促をしたりとまるでミュージカルの続きを見ているようなワチャワチャした感じで楽しいライブでしたね。
あと君とみる夢の早口畳み掛けパートはマジで一刻も早く聴かせてくれ。
まとめ
トゥデイズ チカキンズ ポイント。
ドゥルルルルルルルルルルルルルルル……………
100点(ワンハンドレッド)~!!!
\キラリヒラー!/ \アソーレ!/ \キラリヒラー!/ \アーヨイショ!/
と言うことで、もはや点数を言う必要もないんじゃないかというレベルで文句なしの100点、間違いなく2022年度ラブライブ・オブ・ザ・イヤーでした。
全体のまとめとしては、ネタバレ無し記事にも書いた通りですが、
ひだまりPのスクールアイドルミュージカル評を一言で言えば「ラブライブ!レボリューション」でした。ラブライブ!の既存の世界観や良さはしっかりと残っているのに、革新的な部分や新機軸もあって私たちの「ラブライブ!」という枠組みそのものを拡げてくれる革命的な作品であったと感じています。
かつてμ'sの高坂穂乃果が言いました。「伝えよう、スクールアイドルの素晴らしさを!」と。受け継がれる意思、時代のうねり人の夢。今もなおラブライブ!というコンテンツの中に私たちの愛したスクールアイドルの概念がちゃんと残っていることが確認できただけでも、素晴らしい体験だったと思いますね。
ということで、本当に素晴らしい作品をありがとうございましたという感謝の念に絶えません。
まぁ強いて悪い所を挙げるとすると事前のプロモーションが下手だったせいでスルーしてしまうオタクが続出し、結果的にスクールアイドルミュージカル難民が大量発生していること(映像化求む)、あとは椿咲花に対して滝桜の、特にサヤカとレナがかなり空気だったことはちょっと問題だと思いましたね。サヤカは制服の着崩しとかハーフっぽい見た目で割と何もしてなくても目立つんですけど、レナはマジで相当注目して見てないとライブパートで言った「コーディネートはこーでねーと!!!」以外に活躍シーンがほぼ無いという有り様でしたね。
願わくば映像化、そして続編の制作に希望を持って締めたいと思います。長くなりましたが、読んでくれてありがとうございました。
それでは、よきラブライブを!
オマケ:スクールアイドルミュージカルクイズに挑戦しよう!
スクールアイドルミュージカルクイズを公開してみたので、良かったら挑戦してみて下さい。この記事を読んでいればスラスラ解けるかも…?
下が「かんたんクイズ」となっていてより難易度低めです。
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noteで先行公開したネタバレ無し記事はこちら。